本日は、ラグビーにおけるGPSの使い方について説明します。
今回は5つのポイントについて書きました。
1:重力負荷の比較と分析
2:ウイングのスプリント回数を追跡
3:各スピードゾーンに焦点を当てる
4:ポジションに応じたトレーニングドリルを設計する
5:負荷に焦点を当てる
こちらの記事が少しでも皆様のお役に立てたらと思っています。
ラグビーは高強度なスポーツと呼ばれており、加速、減速、方向転換、高速走行、タックルなどの繰り返しが多いことが特徴です。
したがって、チームが最大限の能力を発揮できるように準備、練習するためには、かなりの量の計画とチームワーク、およびコミュニケーションが必要です。
GPSデータを使用したアスリートモニタリングシステムを使用する事で、選手の適切な負荷のモニタリングする事ができ、正確な試合の準備ができているかを確認する事ができます。
SPTは【Iron Up Rugby Academy】と会い、GPSの使用方法について議論しました。
「Iron Up Sport」は、運動能力、運動スキルの指導、身体能力の構築、アスリートのための競技サポートを専門としている機関です。
「Iron Up」のスポーツ科学者の、ブラッドリー・ジェノバ氏は、GPSデータを使用する際の「ラグビーにおける5つの重要なGPSデータ」を発表しました。
『1:重力負荷の比較と分析』
タックルは、明らかにラグビーに置いて大部分を占めます。
非常に強烈なタックル受けた場合、選手は急ブレーキをかけたときに経験するF1ドライバーの2倍の重力負荷を受けることがあります。
2015年のラグビーワールドカップで行われたタックルの最大数は...
【7試合合計913タックル】
南アフリカ「スプリングボックス」によるものでした。
トーナメント中、スプリングボックスのフランカー、フランソワ・ロー選手のタックル回数は77回でした。
この、タックル回数、ジャンプ回数、ラック回数、モール回数、スクラム回数などの各項目の回数における統計データは、実際ゲーム中に選手が経験する衝撃力とは同じではありません。
ゲーム中の強い重力負荷(7G〜8G)の衝撃回数を分析した場合、バックス選手の強い高衝撃回数は平均66回、
フォワード選手は、平均170も高衝撃回数があります。体の重力的負荷は、その後のパフォーマンスに大きな影響を与える可能性があるため、これらを分析することは重要です。
『2:ウイングのスプリント回数を追跡』
ウィングは、ボールを持っていない時のランニング時間が多く、スプリントと急加速が必要とされています。
今年のラグビーワールドカップで最速の選手は、スプリングボックスのスブ・ヌコシ選手で、『彼の最高速度は34km / h』と記録されています。
この速さと軽快なフットワークを備えてた、彼を止めることは難しいという事だという事は言わなくても理解できるでしょう。
コーチやスポーツ科学者が競技中のウィングのスプリントの回数を追跡することで、
実際、選手がトレーニングですべき本当のスプリント回数を知る事ができます。これにより、選手たちのオーバーワークを避ける事ができ、身体の軟部組織の損傷のリスクを減らします。
『3:各スピードゾーンに焦点を当てる』
ブラッドリー氏は、セッションごとのランニング距離、セッションの継続時間、および各スピードゾーンでのランニング距離は、重要なポイントだと言います。
各スピードゾーンにおける距離の分析は、選手のトレーニング負荷をすばやく示します。
様々なスピードゾーンにおける、ランニング距離を分析することで、コーチは各選手の休息率を評価でき、また、プレー中の回復時間を知る事ができます。
『4:ポジションに応じたトレーニングドリルを設計する』
ラグビー選手のトレーニングは広範囲に及びます。
各ポジション事に、特有のスキルトレーニングがあります。
昨今になり、それらポジション特有のトレーニングが重要だとされるようになってきました。
たとえば...
プロップとフルバックでは見た目やスキルだけではなく、生理学的特性も異なります。
そのため、ゲーム中で必要とされるプレーは異なります。プロップの選手はスクラムに焦点を置き、ラックをクリーンしたり、短い距離のランニングでパワーを発揮し、強いコンタクトを行うことを必要としています。
一方、フルバックの選手はボールを持っていない時間が多く、ボール蹴った時など、縦に長い距離のランニングなどが、必要になります。
トレーニングの効果を高めるためにはトレーニングの効率性を考えなければなりません。
そのためには、各ポジションの選手が取り組まなけばならないトレーニングを明確にし、それらを上達するための時間を選手に与えてあげる必要があります。
そのため、Iron Up Sportでは、ブラッドリー氏は、特にフォワード選手には、力の発揮と 持久力を兼ねたトレーニングに焦点を当てます。
一方、バックスの選手には、さまざまな敏捷性、ハンドリング、加速をすることに焦点したドリルを用意します。
『5:負荷に焦点を当てる』
ブラッドリー氏は言います。
「GPSはトレーニングの負荷を管理するのに役立ちます。選手たちがゲームで最大限パワーを発揮できるようにするためには、彼らのランニングデータを管理することが重要です。」
トレーニング中のパフォーマンスデータを管理する事はとても重要です。
これら各選手のデータは、コーチがチームを最適なパフォーマンス状態に維持するための貴重データとなります。
さらにブラッドリー氏は、続けます。
「SPT GPSシステムは、Iron Up Sportで行われるトレーニングセッションの質を高め、負荷の管理、および測定することを可能にしました。アスリートのセッションごとの必要なランニング量を設定し、毎週、ほぼ同程度の負荷を選手にかけ続けることができるようになりました。」
選手のトレーニンングの負荷を管理することにより、怪我を防ぎ、より効果的なトレーニングを行うことができます。その結果、試合でより良いパフォーマンスを発揮できるようになります。
『さいごに...』
いかがでしたでしょうか?
今回は、ラグビーに焦点を当てた記事でした。ポジションごとに、必要な能力がある。つまり、ポジションによってかかる負荷も違うという事ですね。ポジションごとに負荷の測定基準を持つ事で、試合にピークを持っていく事、また質の高いトレーニングが見込めるのではないでしょうか?
本日もお読み頂きありがとうございました。
『筆者 Daisuke Matsuuraについて 』
関西大学大学院卒。オーストラリア、ニュージーランドでラグビーコーチング、分析等を学び、現在はニュージーランドと日本でラグビーコーチ/アナリストとして活動中。コーチとして、ラグビーワールドカップの優勝を目指している。今後は、ヨーロッパやアルゼンチンへ活動を拡げようと計画中。言葉、映像、環境を操り、人との繋がりを大切にして、選手のパフォーマンス向上とチームの勝利を目指しています。
SNSにて、最先端のラグビーコーチ、アナリストとしての活動内容を日々投稿中!!
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