自宅で出来るエクササイズで、ハムストリングスの怪我を予防をしよう!
- Daisuke Matsuura
- 2020年7月15日
- 読了時間: 6分
更新日:2020年9月23日
今日は、ハムストリングスの怪我の予防に効果的な、エクササイズを紹介します。

ハムストリングスは、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋という太ももの後側にある3つの筋肉を総称する言葉で、それらは多くのスポーツにおいて重要とされている筋肉です。
そんな重要な筋肉とされるハムストリングスは、コンタクトスポーツやボールを蹴る動作があるスポーツで、怪我をしやすい部位だと言われています。
ハムストリングスの怪我は、
・全力疾走をしたとき
・ボールを蹴ったとき
・急な加速減速、および方向転換
などの動きを行った時に起こりやすいと言われています。
この怪我が大きな問題とされている1つの理由は、症状が長引くことにあります。ハムストリングスの怪我は、回復するまでに長い時間が必要になることが多く、平均18日間程度の回復期間が必要だと言われています。 また、もう1つの理由として、受傷者の20~30%の割合で再発症することがある、ということです。
『ハムストリングスと運動の関係』 ハムストリングスは2つの関節の動きに関係している筋肉です。主に股関節の伸展と膝関節の屈曲時に収縮し、その反対の、股関節の屈曲と膝関節の伸展時に引き伸ばされています。
いくつかの例を考えてみましょう。
動きの例1:ランニング
ランニング中では、脚を前に出そうとしている時、ハムストリングスが引き伸ばされています。この動作時には、股関節が屈曲し、それと同時に膝関節が伸展する動きになっているからです。
動きの例2:ボールを蹴る ボールを蹴る動作の時、特に蹴る直前や振り切った後に、股関節の屈曲と膝関節の伸展が同時に起こります。さらに、ここに走る動作が加わると、身体が前傾姿勢になり、さらにハムストリングスが引き伸ばされやすい動作になります。
『ハムストリングス損傷についての研究結果』
最近の研究によると、ハムストリングスの怪我を予防するには、エキセントリック筋力(*1)の強度を高めることが重要だと言われています。これによってハムストリングスの怪我の約3分の2を防ぐことができると言うのです。
*1:エキセントリック筋力とは、筋が外力によって引き伸ばされる動作時に使用する筋力
そこで、ハムストリングスのエキセントリック筋力強化のための有名で、怪我の予防に効果的なエクササイズを紹介します。それは、
ノルディック・ハムストリングス
というエクササイズです。
あるケースでは、このエクササイズを取り入れたことで、選手のハムストリングス損傷のリスクが約51%低減したとの報告もあります。
『ノルディック・ハムストリングスのやり方』 ここからは、ノルディック・ハムストリングスの方法を紹介します。このエクササイズは、2人組で行います。

STEP 0:ウォーミングアップ
どんなトレーニングにも、ウォーミングアップは大切です。身体を温め、気持ちを整えて、トレーニングを始めましょう。
STEP 1:パートナーの支え方
ウォーミングアップが終わったら、パートナーに後ろから足首を固定してもらいましょう。 STEP 2:スタートポジション
エクササイズを行う人は、地面に膝をついて、膝立ちの状態を作ります。
(膝が痛い場合は、膝の下に柔らかいクッションなどを敷いてください。)
STEP 3:身体をゆっくり倒す
次に、ハムストリングスを使用し、できるだけゆっくりと身体を前に倒していきます。 胸が地面に着くまでに、倒していきます。
地面に着く直前には、腕をクッションのように使い、地面に衝突しないように注意しましょう。
STEP4:身体を起こして最初に戻る
胸が地面にそっと触れさせた後は、きれいな姿勢を保ったまま、スタートポジションまで身体を起こしていきましょう。
少しだけ注意点をお話します。このエクササイズは非常に負荷の高いエクササイズです。5回行うだけでも、大きな負荷がハムストリングスに掛かっていることに注意してください。
そのため、このエクササイズを行う際は、むやみに行うのではなく、トレーニング前にセット数と回数を定めて、やりすぎに注意しながら行いましょう。
ただ、このエクササイズは、練習や試合中のハムストリングス損傷のリスクを予防する効果が期待できるので、練習後に少しずつ取り入れてみるのはいかがでしょうか。 また、ハムストリングスを良い状態に維持するためには、今回紹介したノルディック・ハムストリングスだけでなく、他の部位の筋力トレーニングやランニング、ストレッチ等も大切になります。これら全ては、ハムストリングス損傷防止のために重要な要素ですので、バランスよく行いましょう。
参照 Thelen, D, Chumanov, D, and Hoerth, M. Hamstring muscle kinematics during treadmill sprinting. Med Sci Sports Exerc38: 108–114, 2005.
翻訳元
『さいごに...』
いかがでしたでしょうか?
ハムストリングスの損傷に悩んでいる指導者や選手はたくさんいるのではないでしょうか?
私も、大学生の時に、ハムストリングスの怪我に悩んだ時期がありました。当時は、予防のためのエクササイズを知らなかったため、ストレッチや温冷交代浴等で筋疲労を回復させることのみを行っていました。
また、ハムストリングスと聞いて私が思い出すのは、私専用に作られた復帰プロトコル「100m100本走」
です。いま考えると、経験した中で一番辛かったトレーニングかも知れません。オーストラリア人コーチに「100mの加速走を100本走ってもハムストリングスに違和感がないのなら、練習に戻っても良いよ。オーストラリアではこうするんだ」と言われて、必死に走った記憶があります。今となっては、このトレーニングがオーストラリアで本当に行われていたかどうかは分かりませんが・・・笑
私の過去はさておき・・・
是非皆さんも、ハムストリングスの怪我予防に、
「ノルディック・ハムストリングス」
の導入を考えてみては如何でしょうか?
また、SPTなどのGPSデバイスを使用し、ランニング量やトレーニングの負荷をコントロールする事も、このような怪我予防に有効的です。
『筆者 Daisuke Matsuuraについて 』
関西大学大学院卒。オーストラリア、ニュージーランドでラグビーコーチング、分析等を学び、現在はニュージーランドと日本でラグビーコーチ/アナリストとして活動中。コーチとして、ラグビーワールドカップの優勝を目指している。今後は、ヨーロッパやアルゼンチンへ活動を拡げようと計画中。言葉、映像、環境を操り、人との繋がりを大切にして、選手のパフォーマンス向上とチームの勝利を目指しています。
SNSにて、最先端のラグビーコーチ、アナリストとしての活動内容を日々投稿中!!
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